遠い昔を考える
景色が左右を
すぎていく
よく見ようと足を止める
だけれどよく見えない
確かにあるのに
見ようとするとよく見えない
あるはずなのに空気のように
私が私をつかめない
道程は陽炎みたい
だけど私はここまで来た
考えるほど、ここまで来た
朝 5時47分 曇り
「ドアを開ける」
灰色
厚い空気
無音
鳥の声
無音
模型の中みたい
「歩き出す」
灰色
重い空気
鳥の声
歩く音
灰色
重い空気
鳥の声
歩く音
微動だにしないもの
模型の中みたい
「 」
灰色
馴染んだ重さ
鳥の鳴く声
私の歩く音
コンクリートを掃く音
灰色
消えた重さ
鳥の鳴き声
私の歩く音
自転車の過ぎる音
世界のはじまり